新選組関連の本は多数あり、好きな人も多いだろう。池波正太郎ファンの白井一成としては、断然「幕末新選組」をおススメしたいと思う。と言っても他の新選組関連の本はほとんど読んでいないのだけど……。

池波正太郎の「幕末新選組」は永倉新八の一生を描いた長編小説だ。新選組というと、近藤勇や土方歳三などが有名だけど、永倉新八も新選組において重要な役割を担った人物。撃剣師範の役を担ったり、池田屋事件では沖田総司たちとともに池田屋に突入し、戦っていたりする。永倉新八は少年時代から剣術を習い、剣術が巧みだったという。

「幕末新選組」では、近藤勇の人柄にほれ、新選組として活躍した様が描かれている。芹沢鴨にかわいがられ、藤堂平助とは仲が悪く描かれているけど、池田屋事件で永倉新八が藤堂を助け、そこから関係がよくなっていく。

私生活も順調で、妻を持ち娘にも恵まれる。しかし、時は流れ、新選組は落ちて行く。永倉新八は妻にも先立たれ、娘とも生き別れになってしまう。何とも悲しいと思う。

永倉新八はさっぱりとした性格で、人が好い。剣はめっぽう強い。しかし女性には弱い、という愛されるキャラクターだ。池波小説に登場する人物はなぜこんなにも愛おしく感じられるのだろう。そう感じているのは、白井一成だけではないと思う。剣に強い男性の不器用で恋愛下手な一面は読んでいてはがゆく、楽しい。白井一成は、剣は全くできないが、女性に対する気持ちは分かるような気がする。まあ、女性の心理を読み解くのは、あまり得意ではないのだけど……。

友達への想い、家族への愛情などがこまやかに描かれ、心がホッとするシーンも多い。歴史ものだから歴史の勉強にもなるし、読み物としても十分楽しめる。これを読んだら、永倉新八という人物についてもっと知りたくなると思う。